昨日の港議会定例会の書き込みを纏めていたら、アップするのが10時過ぎてしまいました。ご容赦ください。
昨日の午前に、2月17日に開会する第19回苫小牧市議会定例会に向けた岩倉市長と会派メンバーとの「政経懇談会」が開催されました。
新年度の予算概要や市役所組織体制のほかに、市内のコロナ感染状況とその対応、3回目ワクチン接種体制などについて市長から説明があり、これらに対しての意見交換がされました。
午後から令和4年第1回苫小牧港管理組合議会定例会が開催され、管理者である岩倉市長から新年度の港づくりに向けた所信表明が述べられた後に、一般質問と令和4年度一般・特別会予算の議案審議が行われました。
以下、私の一般質問と新年度予算に対する質疑について報告させていただきます。
(〇が質問要旨、●が答弁要旨です)
【一般質問】
1.苫小牧港フェリー就航50年について
〇今年、苫小牧港にフェリーが就航して50年という節目を迎えるが、この間に道内経済発展に果たしてきたフェリーの役割と実績についての管理者の認識は。
●1972年当時週2便で就航したフェリーは、現在では週60便を数え、これまで旅客数延べ3,300万人、貨物量では18億5千万トンを取り扱い、北海道経済発展において、フェリー輸送の充実は欠かすことのできないものであった。また、平成30年に発生した胆振東部地震の際には、被災地への支援物資搬入などに大きな役割を果たしたことは、改めてフェリーによる海上物流ネットワークの重要性が認識された。
〇この50年の節目に、苫小牧港におけるフェリー運航の更なる発展を期したイベント、記念行事などを開催すべきではないか。
●50周年のイベント、記念行事については西港フェリーターミナルを運営する苫小牧港開発㈱で検討していると伺っている。当組合としてもフェリー航路50年とフェリーの役割について広く市民に知っていただくことを目的としたイベント開催は必要と考えており、関係機関の意見を聞きながら検討していく。
2.室蘭―八戸間のフェリー航路休止の対応について
〇本年1月末をもって室蘭―八戸間のフェリー航路が休止されたが、本航路における取扱品目、取扱量は。
●令和2年の貨物量は、約81万トンとなっており、取扱品目の主なものは生体牛と聞いている。
〇これまでの本航路での取り扱い貨物について、苫小牧港で受け入れる余力、体制についての認識は。
●現段階でのフェリー会社からの情報では、苫小牧港への影響の把握は難しく、受け入れ余力や体制について答えるのは困難である。
〇本航路休止後の苫小牧港の役割についてどう考えているのか。
●本港は北海道と本州を結ぶ重要な役割を担っていることから、その役割を果たすために今後の動向を注視していく。
3.津波避難計画と港湾BCPの見直しについて
〇昨年7月に最大クラスの巨大地震を想定した「北海道太平洋沿岸の津波浸水想定」が公表されたが、港管理組合としての受け止めは。
●平成24年の津波浸水想定から苫小牧港の最大津波高は高くなり、第1波到達時間は早くなるなど、避難条件が厳しくなったことから、より安全で迅速な避難の検討が必要と考えている。
〇現在、港管理組合において、東日本大震災を受け、平成24年に北海道が示した津波浸水予想図に基づく、津波避難計画と港湾BCPが策定されているが、見直しの考えとそのスケジュールは。
●新たに津波浸水想定が見直され、苫小牧、厚真町両自治体において令和4年度から津波避難計画の改定が進められており、両自治体と十分連携を図りながら改定作業を進めてまいりたい。
尚、港湾BCPについては港湾機能の維持と早期回復を目的としたものであり、現在のものは令和3年3月に津波高10メートル程度を基に見直しを行っており、大きな修正点は無いものと考えている。
4.東港区立地企業に対するコンテナ搬入の利便性向上について
〇東港区に北海道クールロジスティクスプレイスが供用開始されてから2年間が経過しているが、当面の課題として目と鼻の先にあるコンテナターミナルに向かう際、混雑時には50台以上のトレーラーが列をなしており、一旦、倉庫から遠回りして最後尾に並ばなければならないというケースがあると聞いているが、管理組合としての認識は。
●近隣企業と今後のターミナル周辺の在り方についての意見交換の中で、ターミナルにおける待機レーンの渋滞や混雑等による運転手の拘束時間の長期化、それによるトレーラーの非効率な運用などの課題があることを認識している。
〇港湾長期計画では、この地にフードコンプレックスの形成を目指すと掲げており、今後の食関連の企業誘致の上で、近隣立地企業の利便性向上は必要不可欠な取り組みと考えるが、管理組合としての考えは。
●温度管理型冷凍冷蔵庫を核にフードコンプレックスを形成し、北海道産の農産物の輸出拡大を図るためには、「食」と「物流」が一体となったサプライチェーンの構築が欠かせない。近隣企業、ターミナルに関わる事業者と継続的に意見交換・情報共有を図り、前述の課題解決に資する施設の機能強化やターミナルの効率化に向けた取り組みを進めてまいりたい。
5.東港コンテナヤード内における安全対策について
〇国際コンテナヤード内において、コンテナをシャーシに積み下ろし、蔵置するための自走式門型荷役機械、所謂RTG(トランスファークレーン)が、6機体制で稼働している。このRTGには定期的な点検やメンテナンスが必要とされており、その作業をしている現在の場所はトレーラーの往来が激しい上、RTG同士が接触するリスクも考えられ、過去には工事用車両がRTGと接触するという事故も発生したことがある。港管理組合としての現状認識と今後の課題解決に向けた考え方は。
●関係者に確認したところ、現在のメンテナンス作業場所は狭隘であるために、作業エリアからはみ出して作業することもあり、安全確保ついて改善が必要との認識を持っている。このため、メンテナンス場所として適正な規模等について、今後指定管理者やメンテナンス業者と、協議していきたいと考えている。
〇安全性に関わる問題であり、早急な協議・検討の場を設けるべきと考えるが、この取り組みの時期的な目途は。
●関係機関との日程調整の結果によるが、この2月中に協議・検討の場場を設け、課題解決に向かってまいりたい。
6.勇払マリーナの安全対策について
〇勇払マリーナのプレジャーボートや遊漁船が湾内から外海に出る際の航路において、利用者から砂が堆積し浅くなっている箇所があり、浚渫が必要ではないかとの声を聞いている。そのことに対する認識と対応をどの様に考えているのか。
●昨年5月に、港口付近に浅い場所があるとの報告が利用者から寄せられた。これを受けて、調査を行った結果、安全航行を確保するたに設置している浮標付近に浅い箇所があり、指定管理者と打ち合わせの上、浮標を移設している。このことは、勇払マリーナのホームページや管理棟内の掲示板を通じて利用者に周知している。
移設した浮標で示している区域については、航行できる幅や水深は確保できてるために浚渫は必要ないが、海底面の砂は移動しやすいために。継続的に調査を実施し、利用船舶の航行に支障になる恐れが生じた場合には、浚渫など、必要となる対策を行う。
〇現状では問題が無いとの認識が示されたが、利用者からは、霧の朝(特にけあらし)はレーダーを使いながら出向してもブイに接近しすぎることがあると聞く。この様な利用者の声に耳を傾けながら、継続的な調査が確実に実施されるよう求める。
【令年4年度予算審議】
LNGバンカリングトライアル事業について
〇新規事業として、新年度に取り組むLNGバンカリングトライアル事業に4,000万円の事業費が計上されているが、その事業概要は。
●既に国内に就航している内航LNG燃料船を苫小牧港まで回航し、タンクローリーからLNG燃料を供給する予定となっており、本トライアルを実施することでLNGバンカリングにおける規制面や運用面での課題整理に取り組む。
〇苫小牧港のカーボンニュートラルポートを目指す上での取り組みの一環であると理解するが、まだ国内に数隻しかないLNG燃料船であり、ニーズが極わずかしかない。このタイミングでLNGバンカリングトライアルを苫小牧港が組む背景、意義について考えは。
●IMO(国際海事機関)による船舶の環境規制が強化され、船舶燃料の温室効果ガス排出の削減が加速度的に進められる。なかでもLNG燃料は既に実用化されていることから、今後の普及が期待されており、国内大手3社だけでも、2030年までに約150隻のLNGバンカリングの建造計画があり、苫小牧港においても将来的にLNGバンカリングの需要拡大に対応せねばならぬと考えている。
〇R4年度のトライアル事業を踏まえた今後の展開と本格導入に向けてのロードマップ策定の考え方は。
●導入されるLNG燃料船の船種や船型、寄港岸壁に応じて、適したバンカリング方式は異なることから、これらの状況に柔軟に対応していく必要がある。このことから、現時点でのロードマップ策定は困難であるが、引き続き、関係者との情報交換を密に図りながら、LNGバンカリング拠点の形成に向けて取り組んでまいりたい。
周文ふ頭新規岸壁事業費について
〇本年度内にも、国の直轄事業として採択されることを見込んで、周文ふ頭の岸壁新設について16億8千万円が計上されており、そのうちの管理者負担として5億6千万円が予算計上されている。一方、残念ながら事業採択にはならなかった令和3年度の当初予算に本事業の管理者負担が1億6千万円計上されていたという経緯があり、R3年度とR4年度の当初予算の開きが生じている訳が、その理由はどこにあるのか。
●令和3年度要求の際は、設計費等に要する費用のみであったが、令和4年度要求では、設計等に要する費用のほかに事業促進を図るため、現地着手に係る費用の一部を要求していることから増額となった。
〇国直轄事業である周文ふ頭の岸壁新設に係る管理者の負担割合のルールと財源構成、そして北海道と苫小牧市の母体負担の考え方は。
●岸壁については国費が2/3となり、管理者負担が1/3となる。財源構成としては令和4年度予算に計上している5億6千万円のうち、9割は起債充当が可能な地方債となっている。なお、地方債の償還については一般財源をもって予算計上することになる。
〇事業採択された場合の初年度にあたるR4度の実施を予定している事業内容は。
●管理組合が実施する事業内容は、測量調査のほか用地買収を予定しており、国直轄事業は、設計及び岸壁の一部現地着手するものと聞いている。
〇事業採択から供用開始までの現段階でのスケジュール感と総事業費についての認識は。
●令和4年度に新規採択された場合、現地着手から5~6年程度の事業期間であると聞いている。総事業費については、現在調整中と聞いているが、この岸壁は耐震性を強化する構造となることから、通常の岸壁である西港北ふ頭の総事業費約70億円であったことに比べ、それ以上の事業費となるものと考えている。